わたしは、小学校の4年生ごろまで、新刊本屋にしか入れませんでした。近所の古本屋を窓越しにのぞくと、いかにも気むずかしそうな店主の姿が見え、中に入る勇気が出なかったのです。
はじめて古本屋に足を踏み入れたのは、小学校を卒業するくらいのときでしょうか。店頭に積んであった漫画本のセットがほしくて、入った記憶があります。
じっさいに接してみると、店主のおじさんはちっとも気むずかしい人ではなく、にこにこと愛想よく本を売ってくれました(その数年後、わたしは神田神保町の古本屋で、とてつもなくこわい店主に遭遇するのだけれど)。その古本屋の本棚には、新刊本屋では見たこともないような、古い本がたくさん並んでいました。もっとも、教科書に載っているような文学作品や漫画しか読んだことがなかった当時のわたしは、その本棚の面白さの半分も理解していなかった、といまになって思いますが。
大人になるにつれ、精神的に成長し、読む本のレベルが上がっていくと、古本屋はがぜん魅力的な場所と化します。古本屋で見つけた本の魅力にとらわれ、それに関連した古本をさがす。そして、その本の内容に刺激されて、また別の古本をさがす。
このようにして、わたしは古本の世界にのめり込んでいったのです。
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